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コラム
Pマークの社員教育は何をする?手順や頻度・時期などを徹底解説!
Pマーク(プライバシーマーク)とは、「個人情報を適切に管理している」と評価された事業者が取得できるマークのことです。Pマークを取得するためには、個人情報の取り扱いなどに関する社員教育が必要となります。
ただ、どのような社員教育を施せばよいかわからない企業担当者も多いでしょう。
本記事では、Pマークの社員教育で実施する内容や、手順、頻度、時期などを解説します。
【CONTENTS】
1.Pマーク(プライバシーマーク)とは?
Pマークとは、企業が適切なPMS(個人情報保護マネジメントシステム)を構築していると第三者機関が認定した場合、評価の証として与えられるものです。
Pマークの取得には、日本産業規格の「JIS Q 15001」の基準に合致しているPMSを構築し、第三者機関の審査に合格しないといけません。現在最新の規格は「JIS Q 15001:2023」で、2024年10月1日から最新の規格に基づいた申請受付が開始されています。詳細は公式サイトをご確認ください。
(参考)プライバシーマーク制度-構築・運用方針
お客様から信頼を獲得するために、現在では約17,000社以上の事業者がこのマークを取得しています。
では、Pマークを取得するために必要な個人情報保護に関する社員教育とは、どのような教育なのでしょうか。
2.Pマーク(プライバシーマーク)の「社員教育」とは?
Pマークの社員教育とは、個人情報保護をすべての社員に認識させるための教育です。Pマークを取得・更新するためには、ガイドラインにも規定されている以下の4つの事項についての社員教育が必要です。
- 1. 個人情報保護方針(内部向けおよび外部向け個人情報保護方針)
- 2. PMSに合致することの重要性と利点
- 3. PMSに合致するための役割と責任
- 4. PMSに違反した場合に予想される結果
以上の内容を教育内容に含まなければ、Pマークの取得ができません。
Pマークの社員教育の「目的」は?
Pマークの社員教育は、社員の情報セキュリティに対する意識低下を防ぎ個人情報の漏洩を防ぐことを目的として行われます。
特に新入社員や若手社員は、個人情報の重要性や取り扱いについての知識が不足している傾向があります。
また、万が一、情報漏洩などが起きてしまった場合、会社にとっては信用問題となります。最悪のケースでは、倒産につながることもあるでしょう。
Pマークの規格「JIS Q 15001:2023」では、企業内の社員教育の実施を必要事項としています。
3.Pマーク(プライバシーマーク)の社員教育の「実施時期と頻度」は?
Pマークの社員教育は、少なくとも年に1回ペースで行う必要があります。必要に応じて実施回数を増やすことは問題ありません。
実施時期については特に決まりがなく、企業ごとに決められます。また、全社員が一斉に教育を受ける必要もなく、1年以内に全社員が教育を受けていれさえすれば、Pマークの取得・更新条件を満たせます。ただ、教育実施の期間を定めて、その期間に社員教育を受けさせるのが一般的です。
Pマークの社内教育後は効果測定を実施し、受講者がきちんと教育内容を理解できているかを確認します。
4.Pマーク(プライバシーマーク)の社員教育の「教材は毎年同じでも良い?」
よくある質問で、「社員教育で使う教材は、毎年同じでも良いのか」という質問がありますが、Pマークの更新自体には問題はありません。
社員教育はすべての社員が受講していて、ガイドラインにも規定されている4つの事項が教材に含まれていることは確認されるものの、それ以外については基本的に指摘されることはないといわれています。
年々、教材を難しくしていく必要もなく、すべての社員が個人情報の取り扱いの重要性について認識し、社内のルールを守っていくという意識の統一が大切です。
ただ、毎年同じ教材を使用していると、教育自体のマンネリ化を招き、形骸化してしまう恐れが出てきます。社員の情報セキュリティに対する意識低下を防ぐことや、情報漏洩を防ぐために行っている教育が、逆効果になる可能性もあります。そのためには、教材を定期的に見直し改善する必要もあるでしょう。
5.Pマーク(プライバシーマーク)の社員教育の「流れ」
1.教育の対象者を把握する
Pマークの教育の対象者を把握することから始めます。社内のすべての「従業者」が対象で、少なくとも年に1回のペースで社員教育が必要です。
ここでいう「従業者」とは、「個人情報取扱事業者の組織内にあって、組織の指揮監督を受けて組織の業務に従事している者」を指します。具体的には、以下のような者が該当します。
- 1. 雇用関係にある従業者:正社員・契約社員・パート社員・アルバイト社員など
- 2. 雇用関係にない従業者:取締役・執行役・理事・派遣社員など
つまり、社長でもアルバイトでも、「該当する企業で働いている人」は教育を受けなければなりません。ただし、育児休暇などで業務から長期的に離れている従業者は、教育の対象外となります。
2.教材を準備する
社内教育で使う教材を準備します。Pマークの社員教育では、以下の4つの事項を教材に盛り込むことが必要です。具体的な内容について詳しく解説します。
個人情報保護方針(内部向けおよび外部向け個人情報保護方針)
個人情報保護方針とは、事業者が個人情報をどのように取り扱うかを決めた文書です。社員教育時には、「自社の個人情報保護方針にどのような内容が記載されているのか」を意識するように伝えていく必要があります。
定期的にホームページの個人情報保護方針が記載しているページを共有して方針を把握してもらう方法も効果的です。
PMSに合致することの重要性と利点
まず、PMSへの適合の重要性について社員に伝える必要があります。
【例】
「会社は個人情報を数多く取り扱っています。個人情報を漏洩してしまうと、会社の信用を損なうだけでなく、Pマーク認定が取り消される場合もあります。最悪の場合、会社の倒産に追い込まれることもあるでしょう。このようなリスクを防ぐためにも、自社のPMSを正しく理解・実践しておくことが必要です。」
また、Pマークを取得しておく利点も同時に伝える必要があります。
【例】
「Pマークを取得しておくことで、取引先や消費者から信頼を得られやすくなります。また、Pマークを取得していることが取引条件になっている場合もあります。もし、情報漏洩などのトラブルが発生したとしても、PMSに沿った的確・迅速な対応によって被害の拡大を防ぐことが可能となるでしょう。」
PMSに合致するための役割と責任
PMSの運用や実施には、責任と権限を有する役職者である「個人情報保護管理者」と「個人情報保護監査責任者」が必要です。これらの役職者が何を行い、どのような責任と権限があるのかを知るために社員教育します。
また、上記の役職者以外にPMSの運用責任者がいる場合は、同様に教育が必要です。
PMSに違反した場合に予想される結果
「PMSに違反した場合はどうなるのか」という内容です。具体的には、以下のようなリスクが発生することを理解してもらう必要があります。
- ・インシデント(個人情報の漏洩など)
- ・信用問題
- ・Pマーク認定の取り消し
- ・損害賠償の発生
- ・取引停止や倒産危機
また、同業他社で実際に起きた例をもとにして、自社で問題が発生した場合にはどのような事態になるのか実践的な教育を交えるとよいでしょう。
3.教育を実施する
教材の準備ができたら、社員教育を実施していきます。教育の実施時期についての規定はありません。ただし、新卒・中途の新入社員が入社してきた場合には、その都度教育を実施するとよいでしょう。
4.実施後に効果測定を行う
Pマーク教育は実施することが目的ではなく、受講者がきちんと内容を理解することが重要なので、理解度を確かめるための指針として効果測定を実施します。
効果測定は、明確な合格基準を設定することが必要です。テスト形式で行われることが一般的です。
5.実施内容の見直しを行う
社員教育と効果測定を終えたら、実施内容の見直しを行います。この見直しを行わないと、受講者が分かりにくい箇所や改善できる箇所をそのまま放置してしまうことになります。実施の都度見直しを行い、次の教育に活かしていきましょう。
改善点 |
改善例 |
教育方法 |
集合研修は参加率が低く、不参加者へのフォローや補講の手間もかかるため、eラーニングを利用した教育を検討する |
教育内容 |
テストで受講者の間違えが多い箇所の教材改善 ※どの点がわかりづらかったのか、どうすればより理解してもらえるのかをよく検討する |
6.社員教育の記録を保管する
社員教育を実施したら、教育実施の記録を保管しておく必要があります。社員教育の記録には、以下の内容を記載します。
- ・教育の実施期間
- ・使用した教材
- ・教育成果の評価方法
- ・教育を受けた受講者の内訳
教育の実施記録はPマークの更新審査時に提出が要求され、最低でも2年間は保管しておく必要があります。この保管方法は任意となっており、紙でも電子データでも問題ありません。
6.Pマーク(プライバシーマーク)の社員教育の方法
Pマークの社員教育の方法には、どのような方法があるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
外部講師によるセミナー
外部講師を招いて研修やセミナーを実施する方法があります。
メリット |
デメリット |
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社内での集合研修
社内の会議室やセミナールームなどを利用して集合研修を実施する方法があります。
メリット |
デメリット |
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オンライン研修
ZOOM等のオンラインで研修を実施する方法があります。
メリット |
デメリット |
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eラーニング
eラーニング(electric Learning)とは直訳すると「電子的な学習」という意味で、インターネットを通じて学習する形態です。eラーニングを実施する場合は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末を使用します。
またeラーニングでは、LMS(Learning Management System)と呼ばれる学習管理システムが用いられ、学習教材の配信や学習進捗などが管理可能です。
メリット |
デメリット |
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7.Pマーク(プライバシーマーク)の社内教育をeラーニングで行うメリットは?
では、Pマークの社員教育をeラーニングで行うことは、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
社員の時間的なコストを削減できる
eラーニングであれば、社員の時間的なコストを削減できます。
eラーニングはインターネット環境がある場所ならどこでも研修を受けられるため、すべての社員を一堂に集める必要はありません。たとえば、事業拠点が複数ある企業の場合は、移動にかかる時間とコストを削減できます。
各社員が時間の余裕があるときに、好きなタイミングで受講できるのがeラーニングで社内教育を行うメリットです。
教育記録の管理を効率化できる
eラーニングであれば、社員教育の進捗状況や効果測定の結果などを一括管理することができます。
受講履歴やテスト結果が正確なデータとして残るため、紙やエクセルよりも管理しやすく、更新審査の際もそのデータを使用することが可能なため、効率化につながります。
i-netschool(アイネットスクール)では、eラーニングを用いたPマーク講座を提供しています。最新版「JIS Q 15001:2023」に対応しており、Pマーク取得後の社内研修におすすめです。
事例編は15個のケーススタディから自社に必要な内容を選択できるため、毎年内容を変えて社員教育を行う場合にも使いやすい教材になっております。
>>プライバシーマーク(基礎知識編)
>>プライバシーマーク(事例編)
8.まとめ
Pマークの取得には、日本産業規格の「JIS Q 15001:2023」(※2024年10月以降)の基準に適合しているPMSを構築し、Pマーク審査機関の審査に合格しないといけません。Pマークを取得するために、企業は社員に対して企業が保持する個人情報を適切に取り扱えるようにする教育を実施する責任があります。
そして、Pマークの社員教育は少なくとも、年1回適宜に行う必要があり、実施時期については特に決まりがありません。企業ごとに自由に決められます。
社内教育の方法はさまざまですが、その中でもeラーニングを用いた社内教育がおすすめです。Pマークの社員教育・企業研修を検討している企業担当者は、i-netschoolへお気軽にご相談ください。
>>企業研修向けeラーニング講座
i-netschoolはeラーニング事業歴20年以上。これまでのノウハウをもとに、eラーニングに関するお役立ち情報を発信しています。