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コラム
企業研修のトレンドは?おすすめの研修方法もご紹介!
時代とともに企業研修のテーマや手法は多様化しています。
研修テーマにおいては、価値観の変化に伴い注目されるようになった、いわゆる“流行り”の研修もあります。
今回は、企業研修のトレンドについて、研修の内容や注目されている背景について解説します。
1.企業研修の必要性
企業研修は、企業の成長と競争力を維持するために欠かせません。現代のビジネス環境は、技術革新や市場のグローバル化により急速に変化しています。このような環境では、企業が競争力を保つために、社員のスキルアップが欠かせません。
企業研修が必要な具体的理由
以下では、企業研修の必要性について、具体的に説明します。
スキルアップとキャリア開発
- ・社員が最新の技術や知識を習得することで、業務効率が向上し、企業の生産性が高まります。
- ・社員のキャリアパスを明確にすることで、モチベーションが向上し、離職率の低下にもつながります。
組織の一体感とコミュニケーションの強化
- ・研修を通じて、社員同士のコミュニケーションが活性化し、チームワークが強化されます。
- ・共通の目標やビジョンを共有することで、組織全体の一体感が生まれます。
コンプライアンスとリスク管理
- ・法令遵守やリスク管理のための研修を実施することで、企業の法的リスクを低減できます。
- ・安全衛生や情報セキュリティの意識向上により、情報漏洩やトラブルの発生を防ぎます。
2.企業研修「テーマ」のトレンドは?
企業研修のテーマは時代と共に変化し、現在ではいくつかのテーマがトレンドとして注目されています。
ウェルビーイング
ウェルビーイングは、Well(よい)とBeing(状態)が組み合わさった言葉で、身体的・精神的・社会的に良好で満たされている状態のことを意味します。
ウェルビーイングは、仕事のストレスや職場の環境、個人の生活習慣など、さまざまな要素が絡み合っています。企業にとっては、社員の幸福度が生産性や創造性、従業員の定着率に直結するため、ウェルビーイングを推進していく必要があります。
ウェルビーイングが注目される背景には、働き方改革やメンタルヘルスの重要性が高まっている点が挙げられます。特に、長時間労働やストレスが健康に与える影響が明らかになり、企業が社員の健康をサポートすることが求められています。国や公共団体も、職場の健康促進に向けたガイドラインを提供しており、これが企業の取り組みを後押ししています。
ウェルビーイングに関する研修は、すべての社員を対象にすることが理想ですが、特に中堅社員や管理職向けの研修が重要です。これらの層はストレスの影響を受けやすく、また部下のサポートも求められるため、専門的なサポートやスキルの習得が必要です。
研修内容には、ストレス管理やメンタルヘルスの基礎知識、コミュニケーションスキルの向上、仕事と生活のバランスの取り方などが含まれます。
実際の企業研修では、以下のような取り組みが行われています。
- 1. ストレスマネジメント研修:ストレスの兆候を早期に認識し、対処法を学ぶ研修。実践的なワークショップを通じて、ストレス解消のテクニックやリラクゼーション方法を身につける。
- 2. メンタルヘルスサポートプログラム:専門のカウンセラーを招いて、定期的なカウンセリングやメンタルヘルスに関する教育を実施。社員が安心して相談できる環境を提供する。
- 3. ワークライフバランス研修:仕事と生活のバランスを取るための具体的な方法や時間管理術を学ぶ研修。企業が提供するフレキシブルな働き方の制度と連携して実施される場合が多い。
ウェルビーイングに焦点を当てた企業研修は、社員の健康と幸福度を高めるだけでなく、企業の生産性やリーダーシップを向上させる重要な要素です。適切な研修を導入すれば、社員がより充実した仕事を行い、企業全体のパフォーマンス向上が期待されます。
心理的安全性
(参考)心理的安全性のつくりかた
心理的安全性は、現代の企業研修において重要なテーマの1つです。厚生労働省も職場のメンタルヘルス対策として心理的安全性の重要性を指摘しています。
さらに心理的安全性が高い職場は、社員がミスを恐れずに新しいアイデアを提案できるため、イノベーションが促進される傾向があります。
心理的安全性の醸成に大きな影響力をもつのは、チームの責任者やリーダーです。リーダーが変わるとチームの雰囲気もガラッと変わることがあるように、チーム全体の雰囲気や考え方に大きな影響を与えます。
心理的安全性を高めるための企業研修例は以下の通りです。
- 1. 管理職(リーダー):心理的安全性の概念や部下とのコミュニケーションの取り方を学ぶ。
- 2. 全体:リーダーとメンバーがワークショップ等で交流しながら心理的安全性についての理解を深める。
企業の発展のためにもオープンで意見を言い合える文化を育てるための研修プログラムを積極的に取り入れるべきでしょう。
人的資本経営
人的資本経営は、企業が人材を戦略的に管理し、組織の目標達成に寄与させるためのアプローチです。この概念は、企業が人材を単なるリソースとしてではなく、『人材は企業の成長と競争力を強化する重要な資産』と見なすことに基づいています。
人的資本経営が注目される背景には、企業環境の急速な変化と高度な競争があります。デジタルトランスフォーメーション(DX)やグローバル化が進む中で、企業は柔軟でスキルの高い人材を求めているのです。
また、社員の満足度やエンゲージメントの向上が、企業の業績に直接的な影響を与えます。人的資本経営は、これらの課題に対処するための重要な手段とされているのです。
人的資本経営の実現には、全社員を対象とした研修が有効です。
例えば、リーダーシップスキルの向上や、コミュニケーション能力の強化、専門知識の習得などが挙げられます。特に中堅社員や管理職には、マネジメントスキルや戦略的思考のトレーニングが重要です。
また、新入社員には、企業文化や業務プロセスの理解を深めるためのオンボーディングが効果的です。これにより、各社員が自身の役割を理解し、企業全体の目標に貢献できるようになります。
例えば、「SoftBank University」はソフトバンクが設立した社内研修プログラムです。この制度は、従業員の自己成長とキャリア開発を支援することを目的としています。プログラムは、思考力やコミュニケーション能力など、ビジネスを推進する上で必要な基本的なスキルの向上を重点に置いています。参加する従業員は、これらのスキルを身につけることで、ソフトバンクのさまざまな事業領域で効果的な活動が期待されているのです 。
このように、人的資本経営の実践を通じて、従業員のスキル向上やキャリア成長を支援し、企業全体のパフォーマンス向上を実現しています。
DX人材育成
企業がデジタル化を進める中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成が急務とされています。
DX人材とは、デジタル技術を駆使して業務を改善し、企業の競争力を向上させる人材です。
デジタル技術の進化により、業務プロセスの効率化や新しいビジネスモデルの構築が可能となっています。企業はこれに対応するために、デジタルスキルを持つ人材を求めています。特に、データ分析、AIの活用、クラウド技術の理解などが重要です。また、コロナ以降リモートワークやオンラインサービスの需要が高まり、デジタルスキルがさらに重要視されています。
DX人材育成の研修は、主に以下の3つの対象者に分けられます。
- 1. 現役社員:既存の社員がデジタルスキルを身につけるための研修。業務に即した実践的な内容が求められる。
- 2. 新入社員:新たに入社する社員に対して、基礎的なデジタルスキルを身につけさせる研修。初歩的なツールの使い方やデジタルマインドの形成が中心。
- 3. 管理職:デジタル化を推進するために必要なリーダーシップやプロジェクト管理スキルを提供する研修。
研修内容には、データ分析やAI技術、プロジェクト管理等のITツールの使い方などが含まれます。また、実際のビジネスケースを用いた演習やシミュレーションも効果的です。
さらに、DX人材の育成は単なるスキル習得にとどまらず、新たに必要となる業務に対応できるように、従業員がスキルや知識を再習得する『リスキリング』が注目されるようになりました。人的資本経営にも共通する要素ですが、企業は、社員が新たな技術に適応できるよう、就業しながら学ぶ機会を持つためのサポートを行う必要があるのです。これにより、デジタル化の進展に対応し、持続的な成長を実現できます。
グローバル人材育成
グローバル市場の拡大により、多国籍企業や国際的なビジネス環境での適応能力が求められています。競争が激化する中で、異文化理解や国際的なビジネスマナー、語学力は企業の成長に不可欠な要素です。このため、企業はグローバルな視点を持つ人材の育成に注力しています。
グローバル人材育成には、主に以下3タイプの社員に対して有効です。
- 1. 海外赴任予定の社員: 現地の文化やビジネスマナーについて学ぶ。
- 2. 国際部門のスタッフ:英語などの語学力向上や異文化コミュニケーションスキルを磨く。
- 3. 管理職:グローバルチームのマネジメント技術やリーダーシップを強化する。
グローバル人材育成は、グローバルなビジネス環境において効果的なコミュニケーションを実現して、企業の国際的な成功をサポートします。企業は、研修を通じて、社員のグローバルな視野を広げ、国際市場での競争力を強化していくのです。
ESG
ESGとは、企業が持続可能な成長を遂げるための重要な要素として注目されている概念です。これには、環境保護、社会貢献、企業統治の3つの側面が含まれます。
ESGは、企業の持続可能な発展を実現するために、社会的責任を果たすことが求められるようになった背景があります。気候変動や環境問題への対応、企業の社会的責任を果たすこと、適切なガバナンスを行うことは、企業の信頼性や競争力を高めるために不可欠です。
それぞれのカテゴリーによって、以下のようなESG研修が有効でしょう。
- 1. 経営層:ESG戦略の立案と実施をリードするための戦略的視点と知識を学ぶ。
- 2. 管理職:ESG方針の実行における具体的なアクションプランの策定と運用方法の理解を促進する。
- 3. 一般社員:ESGの基本的な理解と、自身の業務がどのように貢献するかを把握する。
企業はESGを積極的に取り入れることで、企業のブランド価値を高め、投資家や顧客からの信頼を得られます。また、研修を通じて社員全員がESGに対する理解を深め、自分の役割を果たすことで、より良い企業環境の実現が期待できるでしょう。
3.企業研修「方法」のトレンドは?
現代の企業研修では、従来の講義型研修に加えて、様々な方法が取り入れられています。
その中でも今回は「ゲーム型研修」と「eラーニング」に注目して解説します。
ゲーム型研修(ワークショップ型研修)
ゲーム型研修とは、ゲームの要素を取り入れた研修方法で、参加者が楽しみながら学べる形式の研修です。具体的には、シミュレーションゲームやロールプレイングゲームを活用して、実践的なスキルを体験型で学べます。
ゲーム型研修を取り入れるメリット
ゲーム型研修を取り入れることで、得られるメリットは以下の通りです。
- ・実践的なスキル習得:ゲーム形式での実践を通じて、現場で必要なスキルを学べる。
- ・参加者のモチベーション向上:楽しいゲーム要素が参加者の興味を引き、積極的に参加する意欲を高める。
- ・チームビルディング:チームでのゲームプレイを通じて、協力やコミュニケーション能力が自然に養われる。
ゲーム型研修の効果は?
ゲーム型研修の効果として、学習内容の定着率向上、問題解決能力の強化、チームワークの向上が挙げられます。
ゲームは繰り返しのプレイを通じて学習内容を復習する機会が多く、実践的なスキルの習得を助けるでしょう。
また、ゲーム内での課題解決を通じて、従業員の問題解決能力が自然に強化されます。
コロナ以降テレワークの推進により、社内のコミュニケーション機会の減少や、個人のコミュニケーションスキルの低下を課題に感じる企業も増えています。企業によっては研修は貴重な交流の場になるため、積極的な参加を促すためにも楽しく取り組めるゲーム型研修はおすすめです。
eラーニング
eラーニングとは、インターネットを利用して行う教育や研修のことを指します。学習者はパソコンやスマートフォンを使って、いつでもどこでも学習できるため、企業研修において効率的な方法とされています。
以下のような学習形態が注目されていますが、その実施方法の一つとしてeラーニングの活用がおすすめです。
ブレンディッドラーニング
ブレンディッドラーニングは、オンライン学習と対面学習を組み合わせた学習方法です。
(例)理論や知識の習得はeラーニングで行い、実践やディスカッションは対面で実施する。
このように、ブレンディッドラーニングは、理論と実践のバランスを取るため、企業研修において非常に効果的です。
パーソナライズラーニング
パーソナライズラーニングは、学習者一人ひとりのニーズや進捗に合わせて学習内容を調整する学習方法です。これにより、学習者は自分のペースで学び、それぞれに必要なスキルを効率的に身につけられます。
例えば、IT企業では社員のスキルレベルに応じたプログラミング講座を提供し、各自の習熟度に応じて進められるようになっています。このように、パーソナライズラーニングは、個々の学習ニーズに応じた柔軟な研修を提供するため、企業の生産性向上に寄与するでしょう。
マイクロラーニング
マイクロラーニングは、短時間で学べる小さな学習コンテンツを提供する方法です。これにより、学習者は空いた時間を有効に活用して学習を進められます。
(例)短い動画やクイズ形式のコンテンツなど
例えば、ある企業の営業部門では製品知識を短時間で復習できるようなコンテンツが提供されています。
マイクロラーニングは、学習者の負担を減らし、効率的に知識を定着させるため、企業研修において非常に有用です。
4.企業研修をeラーニングで行うメリットは?
企業研修をeラーニングで行うことには、効率的な学習、コスト削減など多くのメリットがあります。
効率的な学習
eラーニングは、従業員が自分のペースで学習を進めることができ、時間や場所に制約されずに学べます。これにより、忙しい業務の合間にも学習を続けられるのです。学習の進捗を管理しやすく、必要に応じて復習も簡単に行えます。
また、学習者だけでなく、管理者側の負担も軽減されます。コンテンツを準備して提供することで、受講者が自由に学習を進めてくれるため、集合研修のように、毎回会場や講師、配布物の準備をする必要がなくなります。
コスト削減
物理的な研修施設のレンタルや交通費、宿泊費などのコストが削減されます。
eラーニングのコンテンツは一度作成すれば何度でも利用できるため、コストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
柔軟性とパーソナライゼーション
eラーニングは、社員の役職やスキルレベルに応じて受講する講座を選択できるため、効果的な学習が可能です。
集合研修であれば、受講者のレベルに合わせて異なる研修を実施するとなると大きな手間と負担が発生しますが、eラーニングであれば、教材コンテンツさえ準備すれば、受講者に必要な講座を割り当てるだけで完了します。
個人に合わせた研修設計の柔軟性がeラーニングのメリットだと言えます。
5.まとめ
今回は、企業研修の最新トレンドを紹介しました。
企業研修の必要性を理解し、自社に必要なテーマや方法を取り入れることで、社員のスキル向上や企業全体の成長を促進できます。
また、新しい研修方法として、ゲーム型研修やeラーニングを取り入れれば、効果的な学習環境を提供できます。特に、ブレンディッドラーニングやパーソナライズラーニングを意識した教育設計を行えば、より効果的な研修が可能となるでしょう。
トレンドを押さえた企業研修を通じて、より強固な組織作りを目指しましょう。
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