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2024.11.04

教材制作

SCORM(スコーム)とは?SCORM教材やLMSとの関係などを解説

SCORM(スコーム)とは、eラーニングにおける世界共通の標準規格です。
新しいeラーニングシステムに移行する際や、手持ちのeラーニング教材が使えるシステムを探す際のポイントになります。
この記事では、SCORMの概要や利用のメリット、導入する際の注意点などをお伝えします。

1.SCORM(スコーム)とは?

SCORMとは?

SCORMは、eラーニングにおける国際的な標準規格として知られています。
しかし、「標準規格であることに、何の意味がある?」「どんなものか分からない」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
ここからは、SCORMの概要や役割について解説していきます。

SCORMとは?

SCORMとは、eラーニングの仕様における標準規格で、アメリカの国防総省や連邦政府が設立した標準化推進団体「ADL(Advanced Distributed Learning)」によって定義・公開されています。

標準規格とは、製品に互換性を持たせる基準であり、私たちの身近にも多くあるものです。例えば、乾電池や用紙、CD、DVDなども当てはまります。大きさや記録方式などが決まっているからこそ、どのメーカーが製造した電池も同じように利用でき、海外のCDも日本のプレイヤーで再生が可能です。

eラーニングの場合、『LMS(学習管理システム)』という器に『教材』をのせて運用しています。この2つをマッチさせるための技術的な仕様が、SCORMとして定義づけられています。この標準規格によって規定された同一の仕様に従うことで、どのLMSを利用しても同じeラーニング教材が利用できるようになるのです。

SCORMにはいくつかのバージョンが存在します。現在、一般的に利用されているバージョンは「SCORM 1.2」と「SCORM 2004」です。
「SCORM 2004」では、前バージョンの「SCORM1.2」ではできなかった学習の順序分けやデータの共有が可能になりました。

SCORMの役割

SCORMの2つの役割について、確認していきましょう。

LMSと教材との間で学習データの履歴などを共有する

一つ目の役割は、LMSと教材間の学習データの共有です。eラーニング学習は、プラットフォームとなるLMSと各種教材を利用して行いますが、LMSと教材の間で直接データのやり取りをするわけではありません。

学習の進捗状況や成績などは、教材を進めていくことで教材側に「学習履歴」としてデータが作成されていきます。この学習データを、APIアダプタというプログラムを介してLMS側に記録・蓄積していく仕様となっています。受講者が前回の続きから学習を開始しようとするときにも、LMS側からAPIアダプタを介して学習履歴が反映される仕組みです。

SCORMでは、LMS側でAPIアダプタを整備し、教材とのデータ送受信を行うことが規定されています。

教材構造に関する情報をLMSに渡す

もう一つの役割は、教材の内容など学習コンテンツの構造に関するデータをLMSに伝えることです。教材作成の際に、内容や構成を規定に従って入力することで、教材の分類や順序が決まり、検索性や再利用性が高められます。

具体的な情報として、下記のような項目が挙げられます。

  • ・教材のタイトル
  • ・制作者
  • ・関連キーワード
  • ・学習順序
  • ・テストの合格点

これらが教材のXMLファイルに記入されることで、LMS側は教材を内容や目的別に分類分けし、正しい順序で教材一覧を作成できます。受講者にとって必要な教材や学習の順序が分かりやすくなり、ユーザビリティが向上します。

SCORMの既定仕様について

SCORMの規定仕様について、確認していきましょう。

ランタイム環境

ランタイム環境とは、APIアダプタを介してLMSと教材がデータの送受信を行うという仕様を指します。APIアダプタの提供と役割が規定されていることで、新しいLMSに移行しても既存の教材の利用が可能になります。
実際にはカスタマイズや情報の追加などがあり、多少の調整が必要となる可能性はありますが、教材をゼロから作り直すことにはならないでしょう。eラーニングの利便性を高める重要な仕様です。

コンテンツアグリゲーションモデル

コンテンツアグリゲーションモデルは、教材がどのような構造かを表すデータの仕様です。教材タイトルや学習順序など、さまざまな情報の登録フォーマットが規定されています。入力された情報により、LMSは教材を正しくカテゴリ分けして順序をつけます。
例えば、基礎編の次に応用編に進むなどの仕様は、これによって実現しているものです。コンテンツアグリゲーションモデルにより、目的に合った教材のピックアップや学習順の確認がスムーズにできます。

シーケンシング&ナビゲーション

シーケンシング&ナビゲーションは、最新の仕様としてSCORM 2004から搭載されています。学習の進行順序やナビゲーションに関する動作の改善で、教材側の独立した機能として、細かな指定ができるようになりました。例えば、学習者の進捗状況や成績に応じて違う内容を表示したり、内容をスキップしたり、教材内のテストで不合格になった場合に復習ページに移動するなども可能です。

これは教材側の仕様となるため、利用しているLMSの機能や仕様に縛られません。コンテンツ自体に機能を搭載できることで、eラーニング学習の自由度が高まり、より効率的に学習できる工夫がなされています。


2.SCORMを利用するメリット

SCORMを利用するメリット

SCORMを利用することにより、運用面やコスト面で大きなメリットがあります。具体的なメリットについて、詳しく解説していきます。

プラットフォームを変えても教材を作り直す必要がない

SCORM教材であれば、既存のLMSから新しいLMSへプラットフォームを変更したとしても、引き続き同じ教材が使えます。標準規格がなかった時代は、教材の仕様がサービス提供会社によって異なり、プラットフォームが変わると今までの教材は合わなくなってしまうため、利用できませんでした。LMSの変更に合わせて、新しいLMSに対応した教材をゼロから作り直す必要があったのです。

現在は、教材がSCORM準拠であれば、新しいLMSに移行しても今までの教材をそのまま利用できるようになっています。既にeラーニングを利用している企業でも、従業員の増加やeラーニング学習の拡充、コスト削減など、さまざまな理由でLMSの乗り換えを検討することがあるでしょう。
LMS変更の際に教材を作り直す必要がないので、LMSの移行作業の負担が軽減され、移行に必要な期間もぐっと短縮されます。
LMSの移行のしやすさという点で、大きなメリットと言えるでしょう。

同じ仕様になることでコストの削減ができる

教材の作り直しが必要ないということは、その分のコストを削減できます。プラットフォームとなるシステムが変更されても、教材そのものは再利用が可能なため、新たに教材を作成するコストは不要です。特定のLMSに依存せず、互換性のある教材を作成することで、長期的なコスト削減が期待できるでしょう。

形式が一定になるのでエラー件数やバグが減る

eラーニングシステムに限らず、ソフトウェアの新製品などは運用を開始してしばらくはエラーやバグなどが発生することが多々あります。その度にシステムがストップしたり、アップデートに時間を要したり、修正作業には労力も時間も必要です。

SCORMによってeラーニングが標準化されることで、形式が統一されて製品の仕様が安定します。エラーやバグなどのトラブルが減り、システムの円滑な運用が可能です。


3.SCORMを導入するときの注意点

SCORMを導入するときの注意点

ここからは、SCORMを導入する際の注意点について、詳しく確認していきます。

SCORM対応のプラットフォーム(LMS)が必要

SCORM教材の利用や、手持ちの教材をSCORM化して利用する場合は、SCORM対応のLMSが必要です。
一般的に、プラットフォームとなるLMSは、学習管理システムやeラーニングシステムとも呼ばれています。多くのサービス提供会社が独自のシステムを開発しており、選択肢は豊富です。SCORM教材を利用するのであれば、事前にLMSのSCORM対応仕様やバージョンを確認しましょう。

SCORM準拠にするには時間とコストがかかる

手持ちの教材をSCORM準拠にするには、時間とコストがかかります。SCORM規定のファイルに変換したり、情報を入力したりといった作業に加え、動作確認なども必要です。
教材の数が多い場合、その時間は短期間では済みませんし、必要コストもかさむでしょう。

また、手持ちの教材の動作が、すべてSCORM規定で再現できるとは限りません。
SCORMの仕様には制限があります。例えば標準的な画像や映像の再生は可能ですが、想定を超えた動作や構成は表現できない可能性があります。そういった場合は、代替案や新たな構成の組み直しも必要になり、さらなる調整を要することになります。

SCORM準拠の教材コンテンツを作成するには専門知識が必要

SCORM準拠の教材をゼロから作成しようとする場合には、専門的な知識が必要です。

SCORM教材は、教材の構造に関する情報を複数のファイルに入力します。テキストや画像などの内容はもちろん、文字のサイズや色に関する情報や、再生スピード、テストの合否判定の点数など、必要なデータは膨大です。
それらを正確に入力・配置し、正しく動作するか確認しなければなりません。

専門知識を持った社内担当者が担当するか、専門業者に依頼するのが望ましいでしょう。
また、現在ではSCORM教材に変換できる制作ツールも提供されているため、そういったツールを使用することもおすすめです。


4.まとめ

この記事では、eラーニングの標準規格であるSCORMについて、概要や具体的な仕様、利用のメリットなどを解説しました。
SCORMは、eラーニングの基盤技術として、重要な役割を果たしています。
標準規格が定まることで異なるLMSで教材を組み合わせる際の互換性問題は解決され、eラーニング教材の共有と再利用が可能になりました。
LMS乗り換えの可能性がある場合は、SCORM対応の教材を検討されると良いでしょう。

SCORM対応の教材にした方が良いのか分からない、SCORM対応の教材を制作したい、とお悩みの場合はまずはお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
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i-netschool 編集担当

i-netschoolはeラーニング事業歴20年以上。これまでのノウハウをもとに、eラーニングに関するお役立ち情報を発信しています。

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