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2024.02.20

その他

eラーニング導入に使える「助成金・補助金」は?要件や申請方法を解説

「従業員のスキルアップのために研修を導入したいけど、極力費用を抑えたい」
「eラーニングの導入を検討しているが助成金の対象になるのか知りたい」
今回は、こんなお悩みを抱えている中小企業担当者様に向けて、eラーニングの導入に使える助成金や補助金の種類を詳しく解説します。

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1.eラーニング導入に使える「助成金・補助金」は?

eラーニング導入に使える国や自治体からの助成金や補助金には、いくつか種類があります。

  • ・IT導入補助金
  • ・人材開発支援助成金
  • ・オンラインスキルアップ助成金

ここからは、各助成金や補助金の対象要件や申請方法について詳しく解説していきます。


2.IT導入補助金

eラーニングのIT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者で新しいITツールを導入する際にかかる経費の一部を補助する制度です。
IT導入補助金には以下の3種類があります。

  • 通常枠(A・B類型)
  • ・セキュリティ対策推進枠
  • ・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

eラーニングは自社の業務効率化や経営力の向上などを図るツールと見なされるため、「通常枠(A・B類型)」で申請することになります。

対象と要件

補助金の対象になるのは以下の項目です。

  • ・ソフトウェア購入費
  • ・クラウド利用費 ※最大2年分
  • ・導入関連費(導入コンサルティングや導入したシステムのマニュアル作成、導入後の保守サポートなど)

IT導入補助金のA型とB型の違いは以下の通りです。 

類型

A型

B型

補助額

5万円~150万円未満

150万円~450万円以下

補助率

1/2以内

1/2以内

機能要件

1プロセス以上

4プロセス以上

上記の表に出てくるプロセスとは、eラーニングを導入する工程のことを言い、工程は以下のように分かれています。

  1. 1.顧客対応・販売支援
  2. 2.決済・債権債務・資金回収
  3. 3.供給・在庫・物流
  4. 4.会計・財務・経営
  5. 5.総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
  6. 6.業種固有
  7. 7.汎用・自動化・分析ツール

※参考:IT導入補助金 交付規程 通常枠(A・B類型)版

補助額は経費の1/2以内です。
IT導入補助金の詳細は公式ホームページをご確認ください。

申請方法

IT導入補助金は、以下の手順で申請を行います。

  1. 1.補助金の内容を理解する
  2. 2.導入するITツールの選択や導入準備
  3. 3.交付申請 ITツールの導入及びツールの利用
  4. 4.事業実績報告
  5. 5.補助金交付手続き
  6. 6.事業実施効果報告

なお、IT補助金の申請は、eラーニングのサービス提供事業者と連携しながら行う必要があります。
また、導入準備を行い交付申請をした段階で補助金の交付有無は決まりますが、具体的な補助金額が決まるのは「6.補助金交付手続き」の後になります。


3.人材開発支援助成金

eラーニングの人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、厚生労働省の助成金です。
中小企業や小規模事業主が雇用する従業員に対して、仕事に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練などを実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成される制度です。
人材開発支援助成金は、訓練の方法や目的、対象者別に以下の7つのコースが設定されています。

  1. 1.人材育成支援コース
  2. 2.教育訓練休暇等付与コース
  3. 3.人への投資促進コース
  4. 4.事業展開等リスキリング支援コース
  5. 5.建設労働者認定訓練コース
  6. 6.建設労働者技能実習コース
  7. 7.障害者職業能力開発コース

これら7つのコースのうち、eラーニングの導入に使用できるコースは、
「1.人材育成支援コース」「3.人への投資促進コース」「4.事業展開等リスキリング支援コース」の3つです。 
ここからは、eラーニングの導入に使用できる3コースの対象と要件、申請の方法を順番に解説していきます。

人への投資促進コース

人への投資促進コースは、以下のような場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等の助成を受けられるコースです。

  • 中小企業や小規模事業主がデジタル人材や高度人材を育成する
  • ・従業員が自発的に行う訓練の実施
  • ・定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施

また、人への投資促進コースは訓練を受ける従業員の雇用形態に制限がなく、正社員はもちろん、非正規社員(パートやアルバイトなど)への訓練も対象となり、利用の幅が広いのが特徴です。 

対象と要件

人への投資促進コースは、以下の5つのコースがあり、どのコースでeラーニングを利用しても助成の対象となります。

  1. 1.デジタル・成長分野:DX化などを目指しデジタル分野特化の訓練を行う
  2. 2.IT分野未経験:IT未経験者を戦力にするための訓練を行う
  3. 3.サブスクリプション:定額で受け放題の訓練を行う
  4. 4.自発的能力開発:従業員が自ら受講した訓練費用を負担する事業主への助成
  5. 5.教育訓練休暇:働きながら訓練を受講する従業員の休暇や時短勤務を認める事業主への助成

例えば、DX化のためのIT研修のためにeラーニングを導入した場合や、新入社員を戦力へと育てるためにeラーニングを導入した場合など、人への投資促進コースは幅広い人材への研修に利用できます。

訓練メニュー

対象訓練

経費助成率

賃金助成額

高度デジタル人材訓練

高度デジタル訓練

(ITスキル標準(ITSS)レベル3、4以上)

中小企業:75%

大企業:60%

中小企業:960円

大企業:480円

成長分野等人材訓練

海外も含む大学院での訓練

75%

960円

※国内大学院の場合

情報技術分野認定実習

併用職業訓練

OFF-JT+OJTの組み合わせの訓練(IT分野関連の訓

練)

中小企業:60%(+15%)

大企業:45%(+15%)

中小企業:760円(+200円)

大企業:380円(+100円)

定額制訓練

「定額制訓練」(サブスクリプション型の研修サービス)

中小企業:45%(+15%)

大企業:30%(+15%)

自発的職業能力開発訓練

労働者の自発的な訓練費用を事業主が負担した訓練

30%(+15%)

長期教育訓練休暇等制度

長期教育訓練休暇制度(30日以上の連続休暇取得)

制度導入経費20万円(+4万円)

1日当たり6000円

(+1200円)

所定労働時間の短縮と所定外労働時間の免除制度

※()内の助成率(額)は、対象要件を満たした場合に助成率が割増される
※賃金助成額(訓練期間中に支払われた賃金に対する助成)は、1人1時間当たりの額(※長期教育訓練休暇制度は1人1日当たりの額)
※「高度デジタル人材訓練」「成長分野等人材訓練」「情報技術分野認定実習併用職業訓練」は、資格取得経費(受験料)も助成対象
※人への投資促進コースの修了後に正社員化した場合は、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の加算対象

※参考:厚生労働省 | 令和5年度版パンフレット(人への投資促進コース)詳細版

申請方法

人への投資促進コースは、訓練メニューによって申請手順が異なるため、3つに分けてご紹介します。

高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練/
情報技術分野認定実習併用職業訓練/定額制訓練
  1. 1.事業内計画の作成
  2. 2.訓練計画の提出
  3. 3.訓練の実施
  4. 4.支給申請
自発的職業能力開発訓練
  1. 1.事業内計画の作成
  2. 2.制度の導入
  3. 3.訓練計画の提出
  4. 4.訓練の実施
  5. 支給申請
長期教育訓練休暇等制度
  1. 1.事業内計画の作成
  2. 2.訓練計画の提出
  3. 3.制度の導入
  4. 4.制度適用
  5. 5.支給申請

制度の導入は、eラーニングの導入を意味します。
事業内計画の作成方法などは、厚生労働省のホームぺージからダウンロードできるパンフレットに詳細が載っていますので、参考にしてください。


人材育成支援コース

人材育成支援コースでは、雇用する被保険者に対して以下の訓練を行った場合に訓練にかかる経費や訓練期間中の一部賃金が助成されます。

  • ・職務に関連した知識や技能を習得させるための訓練
  • ・厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練
  • ・非正規雇用労働者を対象とした正社員化を目指す訓練

対象と要件

人材育成支援コースでeラーニングの助成を受けるには、対面で実施される訓練とは異なる支給要件を満たしている必要があります。

  • ・標準学習時間が10時間以上または標準学習期間が1か月以上であること
  • ・1訓練あたりの経費が分からない定額制サービスによるものではないこと
  • ・広く国民の職業に必要な知識及び技能の習得を図ることを目的としたものであり、特定の事業主に対して提供することを目的としたものではないこと

※参考:厚生労働省 | 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内

ここで注意するべき点は、何時間学習しても定額制のサブスクリプション型eラーニングは対象にならないという点や、特定の企業で活かせるスキルを習得できる訓練は対象外ということです。
また、訓練に使用するパソコンやソフトウェア等にかかる経費も、1訓練当たりの経費が不明確なため対象外となります。 

申請方法

人材育成支援コースの手続きは以下の手順で行います。 

  1. 1.訓練計画の提出
  2. 2.訓練の実施
  3. 3.支給申請書の提出
  4. 4.助成金の支給決定または不支給決定

人材育成支援コースの場合、訓練の実施後に支給申請書の提出を行い、助成金の支給有無が判断されます。
そのため、支給要件や対象条件を事前にしっかり確認しましょう。 詳しい支給要件や対象条件は厚生労働省のサイトやパンフレットをご覧ください。


事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業の立ち上げなど、事業展開していくための訓練の助成です。
新たな分野で必要となる知識や技能を従業員に習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。
また、事業展開だけでなく、DX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるための訓練を実施した場合も対象となります。

対象と要件

事業展開等リスキリング支援コースでeラーニングを対象とする場合の要件は以下です。

  • ・標準学習時間が10時間以上または標準学習期間が1か月以上であること
  • ・事業展開を行うために必要な専門知識や技能の習得をさせるための訓練であること
  • ・DX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるための訓練であること

2個目と3個目(赤字の箇所)に関しては、どちらか一方が当てはまれば、要件を満たしているということになります。
こちらのコースは、eラーニングの定額制サービスが助成の対象となり、申請の際に訓練を受ける者として指定された従業員が、既定の時間以上の学習を完了させることで要件を満たすことができます。
ただし、事業展開等リスキリング支援コースでeラーニングの助成を受ける場合は経費の助成のみとなり、助成率は中小企業で70%、それ以外の場合は65%となります。 

※参考:厚生労働省 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)

申請方法

事業展開等リスキリング支援コースの申請手順は以下の通りです。

  1. 1.職業訓練実施計画届を各都道府県労働局またはハローワークに提出
  2. 2.訓練の実施
  3. 3.支給申請書を各都道府県労働局またはハローワークに提出
  4. 4.助成金の支給決定または不支給決定

人材育成支援コースと同様、支給申請書を提出した後に助成金の支給有無が決定します。
対象とならない経費についてや詳しい支給要件は厚生労働省のサイトからダウンロードできるパンフレットもご参照ください。


4.オンラインスキルアップ助成金(東京都)

eラーニングのオンラインスキルアップ助成金

オンラインスキルアップ助成金は、東京都独自の助成金です。
都内に所在する中小企業等が、従業員に対してeラーニングを利用した職業訓練を行う際の経費に対して助成金申請ができる制度です。 

対象と要件

オンラインスキルアップ助成金の要件は以下の通りです。

  • ・都内に本社または支店や営業所などの事業所の登記がある
  • ・訓練にかかる経費を従業員に負担させていない
  • ・助成を受けようとする訓練について国や地方公共団体から助成を受けていない

助成金の限度額は以下の通りです。 

事業者

助成額 

上限額

小規模企業者

助成対象経費の2/3

27万円

小規模企業者に当てはまらない中小企業

助成対象経費の1/2

20万円

中小企業等の受講者のうち全体の2割以上が非正規雇用労働者

助成対象経費の2/3

27万円

なお、助成金の対象になるのは訓練にかかる経費の税抜きの金額です。 

申請方法

オンラインスキルアップ助成金の申請の流れは以下の手順です。

  1. 1.交付申請書の提出
  2. 2.審査及び交付決定通知
  3. 3.訓練の実施 実績報告書の提出
  4. 4.審査及び助成金額の決定通知
  5. 5.助成金請求書の提出
  6. 6.助成金振込

助成金交付の有無は2審査及び交付決定通知で決まりますが、実際に支給される金額は実績報告書の提出後の助成金額の決定通知で正式に決定されます。

助成金の詳細や詳しい申請方法は公式ホームページをご確認ください。


5.まとめ

eラーニングの導入に使える助成金や補助金についてご紹介してきました。
申請できる助成金や補助金には複数の種類があり、どのような研修をどのような目的で行うかによって利用できるものが変わり、手続きの方法もそれぞれ異なります。
自社に必要な研修の種類や目的、使いたいeラーニングシステムに合わせて助成金や補助金をうまく活用し、費用負担を抑えてeラーニングを人材育成に役立てましょう。


この記事を書いた人
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i-netschool 編集担当

i-netschoolはeラーニング事業歴20年以上。これまでのノウハウをもとに、eラーニングに関するお役立ち情報を発信しています。

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