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コラム
研修方法にはどのような種類がある?研修の意義と研修効果を最大にする方法
「社員のスキルをどうやって向上させるべきか悩んでいる」
「効果的な研修方法を知りたいが、何から始めればいいのかわからない」
こんな悩みをお持ちではないでしょうか。
研修は企業の成長に欠かせない重要な取り組みです。本記事では、研修の意義や方法、注意点について詳しく解説します。各研修方法のメリット・デメリットを理解し、研修の目的に応じて、最適な研修方法を選択できるようになりましょう。
【CONTENTS】
1.研修を行う意義とは?
研修を実施する意義には様々な側面があります。具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
自社の企業理念やビジョンを伝える
研修は、企業のビジョンやミッションを従業員に共有する重要な機会です。新入社員研修では、企業の理念やビジョンを初めて知る場となり、既存社員にとっても、改めて企業の目指す方向を確認する機会となります。
例えば、毎年の研修で全社員が目指すべき方向や目標を再確認し、そのための取り組みを各部門やチームでディスカッションすることで、全員の目標への意識を高められます。企業全体の一体感が生まれ、目標達成に向けた一丸となった取り組みが促進されるのです。
目指すべき人材像を知ることで社員のモチベーションが上がる
研修を通じて、企業が求める人材像を具体的に示すことで、従業員のキャリアパスが明確になり、モチベーションが向上します。例えば、管理職研修を実施することで、リーダーシップやマネジメントスキルを磨く機会を得られるでしょう。
このような研修を通じて、従業員は自身のキャリア成長の方向性を理解し、それに向けた努力を行う動機付けとなるのです。結果として、個々の成長が企業全体の成長にもつながります。
人材の底上げになる
研修は、従業員全体のスキルを底上げするための有効な手段です。特に、業務に直結するスキルや知識の習得は、企業の基盤強化や企業の競争力を高めるために不可欠でしょう。
ビジネスにおいて必要なスキルを習得する研修だけでなく、業界・業種に特化した知識を落とし込む研修も実施します。
例えば、技術革新のスピードが早いIT業界では、最新の技術やトレンドに関する研修を定期的に実施し、従業員のスキルアップを図っています。
これにより、従業員は最新の技術を駆使した業務改善や新しいサービスの開発に貢献できるようになるのです。
研修を通じて得た知識やスキルは、企業全体のパフォーマンス向上に直結します。
2.4つの研修の種類と特徴
研修には多くの種類があり、それぞれに特有の利点と特徴があります。ここでは、4つの主要な研修方法について詳しく説明します。
1.OJT研修
OJT研修(On-the-Job Training)は、職場で実際に業務を行いながらスキルや知識を習得する研修方法です。
OJT研修の特徴
この研修方法の特徴は、実務を通じて学べるため、即戦力としての能力が身に付きやすい点にあります。特に、新入社員や未経験者にとっては、実際の業務を体験することで業務の流れや会社の文化を理解しやすくなります。
メリット・デメリット
OJT研修のメリット・デメリットとしては、以下の点が挙げられます。
メリット |
・実務経験を通じて即戦力が身に付く |
実際の業務を行うことで、座学では得られない実践的なスキルが習得できます。 |
・会社の文化や業務の流れを理解しやすい |
日々の業務を通じて、会社の方針や業務プロセスを自然に学べます。 |
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・指導者とのコミュニケーションが深まる |
上司や先輩社員から直接指導を受けることで、信頼関係が築きやすくなります。 |
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デメリット |
・指導者のスキルに依存する |
指導する側の知識やスキルに大きく依存するため、均一な研修効果が得られにくいです。 |
・計画性が欠ける場合がある |
業務に追われると研修計画が後回しになりがちです。 |
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・業務の繁忙期に研修が難しい |
業務が忙しい時期には、十分な指導が行えない場合があります。 |
向いている研修の例
OJT研修は、以下のような研修に適しています。
・営業研修 |
実際の顧客対応や営業活動を通じてスキルを学べます。 |
・現場研修 |
現場での作業手順や安全対策を実地で学ぶことで、効率的な業務遂行が可能です。 |
・電話対応研修 |
実際の顧客対応を通じて、コミュニケーションスキルや問題解決能力を磨けます。 |
2.集合型研修
集合型研修は、多くの企業で取り入れられているオフ・ジョブ・トレーニング(Off-JT)の一環として、従業員が特定の場所に集まり、専門の講師から講義や指導を受ける形式の研修です。
集合型研修の特徴
集合型研修の最大の特徴は、直接対面での指導が行われる点です。これにより、参加者は講師との研修を通じて疑問を解消しやすくなり、理解度が深まります。
また、同期や同僚と一緒に学ぶことで、チームビルディングの一環としての効果も期待できるでしょう。さらに、実技やロールプレイングを取り入れることで、実践的なスキルを身につける機会が増えます。
メリット・デメリット
集合型研修のメリット・デメリットとしては、以下の点が挙げられます。
メリット |
・体系的な知識が習得できる |
専門的な知識やスキルを体系的に学べます。 |
・集中して学べる環境が整っている |
職場を離れることで、学習に集中できる環境が提供されます。 |
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・他部門や他社との交流が図れる |
ディスカッションやワークを通じて他部門や他社の参加者と交流することで、新たな視点やネットワークが生まれます。 |
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デメリット |
・実務との乖離が生じやすい |
実際の業務とは異なる環境での学習のため、実務に直結しない場合があります。 |
・受講者の積極性が求められる |
集中して学ぶためには、受講者自身の積極的な姿勢が重要です。 |
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・コストがかかる |
講師の費用や会場費など、コストがかかる場合があります。 |
向いている研修の例
集合型研修は、以下のような研修に適しています。
・新入社員研修 |
新しく入社した社員に対し企業の理念を共有したり、コミュニケーション強化に有効です。 |
・階層別研修 |
特にマインド改革のためにワークショップやディスカッションを軸にした研修に適しています。 |
・技術研修 |
専門的な技術や知識を習得するために、実技を交えた研修が効果的です。 |
3.オンライン研修
オンライン研修は、Web会議ツールなどを活用してリアルタイムに行われる研修形式です。
オンライン研修の特徴
この形式の研修は、自宅やオフィスなど、場所を問わず参加できることが最大の特徴です。チャット機能を活用した質問やブレイクアウトルーム機能によるディスカッションも可能であり、臨場感を持って学習できる点も利点となります。
メリット・デメリット
オンライン研修のメリット・デメリットとしては、以下の点が挙げられます。
メリット |
・場所を問わず受講できる |
自宅やオフィスなど、好きな場所で受講可能です。 |
・コスト削減 |
交通費や宿泊費などの経費を削減できます。 |
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・複数拠点への研修 |
拠点が複数ある場合でも一括で研修を実施できます。 |
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デメリット |
・インターネット環境の整備 |
ネット環境が不安定だと研修に支障が出る可能性があります。 |
・集中力の維持が難しい |
自宅やオフィスの環境によっては集中しにくい場合があります。 |
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・実技研修に不向き |
実技を伴う研修には適していません。 |
向いている研修の例
オンライン研修は、以下のような研修に適しています。
・全社研修 |
企業として全社に対して共有する、知識を通しこむための研修です。一方向の講義形式で説明が中心の内容に適しています。 |
・スキルアップ研修 |
マーケティングスキルやITスキルなど、知識の向上を目指すインプット系の研修に適しています。 |
4.e-ラーニング研修
e-ラーニング研修は、予め用意されたコンテンツを用いて自分のペースで学習する形式の研修です。
e-ラーニング研修の特徴
講義動画、アニメーション教材を活用した講座を受講することで、学習者は自分の都合に合わせて学習を進められます。この形式の研修は、時間や場所に縛られず、個々の学習速度に応じた学びが可能です。
メリット・デメリット
e-ラーニング研修のメリット・デメリットとしては、以下の点が挙げられます。
メリット |
・自分のペースで学習可能 |
忙しいスケジュールに合わせて学習できます。 |
・コンテンツの再視聴が可能 |
必要に応じて何度でも復習ができます。 |
|
・コスト効率が高い |
一度制作したコンテンツを多くの学習者に提供できるため、長期的にはコスト削減につながります。 |
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デメリット |
・自己管理が必要 |
自律的に学習を進める能力が求められます。 |
・質問対応が遅れる |
リアルタイムの質問が難しく、対応が遅れる場合があります。 |
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・実技研修に不向き |
オンライン研修同様、実技を伴う研修には適していません。 |
向いている研修の例
e-ラーニング研修は、以下のような研修に適しています。
・全社研修 |
オンライン研修同様、全社に対して実施する研修に適しています。 |
・自己啓発型研修 |
自己啓発やスキルアップを目的とした研修に向いています。 |
・資格取得 |
資格試験の対策講座などの学習ツールに適しています。 |
3.研修をより効果的にする方法
次に、効果的な研修を行うための具体的な方法について解説します。
インプットとアウトプットを組み合わせる
座学による知識のインプットは、研修の基礎として非常に重要です。しかし、ただ座学だけで終わらせるのではなく、学んだ知識を実際に活かすアウトプットの機会を設けるのが効果的です。
例えば、座学の後にグループディスカッションやロールプレイングを行うことで、理論と実践の両方を経験し、理解を深められます。これは、学習の定着度を高め、実際の業務に応用しやすくするためです。
【関連記事】ブレンディッドラーニングとは?メリットや研修例、導入方法を解説
受講者のスキルや経験に合わせた研修を行う
研修のテーマにもよりますが、特に業務スキルに直結する研修であれば、受講者のスキルや経験に合わせた研修を行うことでより効果を発揮します。
社員一人ひとりのスキルレベルは異なるため、全員にとって有益な研修を提供するためには、その個々のレベルに応じたアプローチが求められます。
OJTであれば個々に合わせた指導を行いやすいですが、研修の対象人数が増えていくと難易度は上がっていきます。
上記のような場合は、研修手法としてeラーニングがおすすめです。
ラーニングを活用することで、受講者は自分のスキルや経験に応じた内容を学ぶことができます。基本的なスキルを必要とする社員には入門コースを提供し、既に高いスキルを持つ社員には、中・上級コースを選択させることが可能となります。
研修は内容を見直しながらブラッシュアップしていく
研修内容は一度決めたら終わりではありません。受講者の反応や研修の成果から内容を評価し、次回のために内容を改善する必要があります。
また、時代や業界の変化に応じて求める人材像や教育内容も変化するため、常に見直しとブラッシュアップが必要です。
質の高い研修を実現するために、定期的に研修内容を更新するようにしましょう。
4.研修の前後で気を付けるべきこと
研修を計画・実施する際には、いくつかのポイントに注意する必要があります。
具体的なポイントについて以下で詳しく説明します。
研修前
研修を成功させるためには、まずその目的や目標を明確にすることが重要です。企業が研修を行う理由にはさまざまなものがありますが、共通しているのは従業員のスキル向上や組織全体のパフォーマンス向上を目指すことです。
ここでは、研修を始める前に意識しておくべきポイントについて説明します。
研修の目的や目標を明確にする
研修の効果を最大限に引き出すためには、最初にその目的や目標をはっきりさせることが必要です。目的が曖昧なままでは、研修の方向性が定まらず、効果も薄れてしまいます。
例えば、新入社員の研修では、「企業文化の理解」と「基礎的な業務スキルの習得」が目的とされることが多いです。目標としては、「1ヶ月以内に業務プロセスを理解する」といった、具体的な目標を設定することが推奨されます。
このように目標を具体化することで、研修の進捗を測る指標が明確になり、研修終了後の評価も行いやすくなるでしょう。研修の目的や目標を明確にし、目的に合った研修方法を取り入れることが、成功する研修の基本です。
研修後
研修が終わった後にも、継続的な学びとフォローアップを行うことで、研修の効果を最大化できます。以下に、研修後にしておきたい具体的な活動について説明します。
定着度を見るために経過をチェックする
研修後の定着度を確認するために、経過チェックが重要です。
例えば、アンケート調査や個別面談、上司による行動観察などを通じて、社員が新しい知識やスキルをどの程度まで活用できているのかを確認しましょう。これにより、研修の効果を測定でき、必要に応じて追加のサポートやフォローアップ研修を実施できます。
学んだ知識・スキルを活かす機会を設ける
研修の効果を最大化するためには、学んだ知識やスキルを実践する機会を提供するのが重要です。例えば、研修で学んだ内容を業務に活かすためのアクションプランを作成し、実際の業務に取り組ませることで、学んだ内容を即座に実践できます。
また、プレゼンテーションの実施やチーム内で研修での気づきを共有するなど、研修内容を他の社員に共有させれば、アウトプットの機会を増やせるでしょう。これにより、研修の内容がより深く定着し、実務に活かされる確率が高まります。
研修の評価から、費用対効果を確認する
研修の効果を評価するためには、費用対効果の分析が欠かせません。研修にかかったコストと、得られた成果を比較することで、今後の研修プログラムの改善点を見つけられます。
例えば、研修後の業務効率がどれだけ向上したか、社員のスキルアップがどの程度達成されたかを評価指標とするのが有効です。具体的には、業務の生産性や売上の増加、社員の満足度向上など、定量的なデータを収集し分析します。これにより、研修の投資効果を明確に把握でき、今後の研修プログラムの最適化に役立てられるでしょう。
研修によっては、成果を可視化することが難しいものや、外的要因が影響し正確な研修の効果測定が難しいものもあります。
研修の効果測定については、以下の記事で解説していますので、参考にしてください。
>>研修の効果測定の目的や手順|段階別の測定方法を解説
5.基本知識の落とし込みにはeラーニングを活用しよう
企業が実施する研修は様々ですが、コンプライアンスや情報セキュリティ、ハラスメント等のリスクマネジメントに関する研修は、意識づけのために定期的に繰り返し実施する必要があります。
法律や一般常識が基盤になる研修については、既存のeラーニング講座を活用することで効率的に質の高い研修を実施することが可能です。
eラーニング講座であれば、法律の改定や最新事例の内容を反映してくれているため、教材制作の手間を削減することができます。
i-netschool(アイネットスクール)では企業研修向けのeラーニング講座を150コース以上提供していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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▼提供講座のイメージ例
(左:ハラスメントに関するショートドラマ講座、右:メンタルヘルスに関するアニメーション講座)
6.まとめ
研修は企業の成長と社員のスキル向上に欠かせない要素です。本記事では、研修の意義や方法、種類について詳しく解説しました。目的に合った研修方法を選び実施することで、人材の底上げが期待できます。研修後も定着度のチェックやアウトプットの機会を設けるのが重要です。
ぜひ本記事の内容を参考に、効果的な研修を実施してみてください。
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