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2024.02.20

教材制作

eラーニングの効果を高める「受講時間」について解説!集中力が保てる時間は?

eラーニングが急速に広まる中、効果的な利用法についての理解がますます重要となってきています。その中でも、時間管理はeラーニングの効果を高める上で、とても重要な要素です。
本記事では、eラーニングにおける「時間」の役割とその管理方法について解説していきます。

さらに、記事の後半では、過去にトラブルにもなっているeラーニングの「受講時間」が労働時間扱いになるのか?という点も解説しています。

eラーニングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。システム選びから教材制作まで徹底解説しています。
>>eラーニングとは?システム選び~教材制作まで徹底解説!

1.eラーニングの効果を高めるには「時間」を意識することも大切

eラーニングの効果を高める時間

eラーニングは、企業における教育研修に欠かせないツールとなりました。
しかし、ただ導入すればよいというものではなく、効果を最大限に引き出すためのポイントが存在します。

その一つが「時間」の配分の最適化です。
eラーニングを効果的に学習するには適度な長さが求められます。時間が長すぎると集中力が続きませんし、短すぎると理解が不十分になってしまいます
このように、学習時間はeラーニングの効果に大きな影響を与えます。

また、ただ時間の長さを決めるだけではなく「いつ、何時に」学習するのが最良なのかという視点も必要です。
一部の研究では、午前中に学習する方が良い結果を得られると指摘されています。これは脳が朝に最も活動的であるためと解釈されています。

さらに、労働時間とのバランスも重要です。長時間の労働後の学習はパフォーマンスが落ちる可能性があるため、労働時間が少ない日、または労働時間の前に学習時間を設定するのが理想的です。

時間の配分による学習効果の最適化は、個々の学習者の状況に合わせた柔軟な調整が必要です。eラーニングの制度設計を考える際は、学習時間と労働時間の最適化に注目し、受講者が十分に学習に集中できる環境を整えることを心掛けましょう。


2.eラーニングに効果的な学習時間は?

eラーニングに最適な時間

eラーニングに関して、1回あたりの学習時間や1日の総学習時間に関しての厳密な基準は存在しません。
学習時間の長さは、そのコンテンツの性質、学習者の理解度や集中力、個々の学習スタイルなどに大きく影響されます。

しかし、学習効果を最大化するための一般的な方法はありますので、効果的なeラーニングの時間管理のポイントについて、以下で紹介していきます。

1日当たりの学習時間

eラーニングの1日当たりの学習時間を計画する際は、以下の要点を考慮することが重要です。

総学習時間

1日当たりの学習時間は個々の学習者によりますが、適度な目安としては60分~90分が推奨されます。しかし、この時間はあくまで目安であり、個々の学習者の能力、学習内容、学習目的によって調整する必要があります。
また、適度な休憩をはさみながら進めることも大切です。

分散学習

学習内容を一度に詰め込むのではなく、毎日少しずつ学習する「分散学習」は、長期記憶の定着に有効です。この方法は、新しい知識を効率的に取り込むための有効な戦略とされています。

上記で紹介した方法は、効果的な学習時間を最大化し、eラーニングの効果を高めるためのものです。
計画を1日のスケジュールの一部として組み入れ、学習者の特定の目標、頭脳のストレスレベル、日々の活動とのバランスを維持することが大切です。快適で実用的な学習環境が、長期的な学習目標達成に重要な役割を果たします。

学習効率を高める時間配分

学習効率を高めるための時間配分として、次のポイントを理解し実践することが重要です。

1回の学習時間

人間の注意力は一定の期間集中した後に減少します。いろんな説はありますが、一般的に「集中力をキープできるのは15分程度」と言われています。
そのため、1回あたりの学習時間を15分程度(長くても30分以内)に限定し、その間に特定のトピックを深く学ぶことが推奨されます。短い時間で集中して学び、それを複数回繰り返すことで、記憶の定着度を高めることができます。

休憩の取り入れ

学習セッションと休憩を適切に交互に行うことは、学習効率を上げる重要な要素です。疲労を軽減し、脳が新たな情報を吸収するのを助けます。
ビジネスで生産性を高めるために用いられる技法の一つは「ポモドーロ・テクニック」で、25分の学習に5分の休憩をセットとして取り入れます。

反復レビュー

学習した内容は定期的に復習することが重要です。新しい知識を定着させ、忘却曲線を乗り越えるために、復習は欠かせません。このため、学習スケジュールには必ず復習時間を含めるべきです。

上記で紹介した理論に基づいて時間配分を計画することで、より効果的な学習が可能になります。ただし、これらは一般的な方法であり、最終的には各学習者の個々の学習スタイルや目標、理解度に応じて調整することが重要です。


3.長すぎるコンテンツは逆効果になるので注意

eラーニングの注意点

eラーニングにおけるコンテンツの長さは重要な要素です。
以下のポイントを参考にして調整してください。

長いコンテンツのデメリット

集中力が続かない

前段でもお伝えしたように、人間の注意力は限られています。一般的には集中力を継続できるのは約15分程度が限界とされています。そのため、長すぎるコンテンツは効果的な学習を阻害し、逆効果になる可能性があります。

情報の過負荷

一度に大量の情報を詰め込もうとすると、学習者の理解度を下げ、情報過負荷を引き起こすことがあります。その結果、記憶の定着が不十分になるか、全く無くなってしまう恐れがあります。

学習の断念

特に、自主的に学習を行うeラーニングの受講者にとって、長すぎるコンテンツは量によって圧倒されてしまう可能性があります。学習モチベーションを下げ、学習の断念を招く可能性があります。

対策方法

対策としては、コンテンツを短く刻み、コンセプトごとに細分化することで、学習者は一つのトピックを完全に理解した上で、次のトピックに進むことができるのでおすすめです。

いわゆるマイクロラーニングはこのアプローチを採用しています。
特定のスキルや知識を5〜10分程度の短いモジュールで提供する方法で、学習者が一度に消化できる情報量を制限することで、理解度と記憶力を高めます。

▼コンテンツのカリキュラム例

eラーニングのカリキュラム例

学習コンテンツの作成や選定に際しては、上記で紹介した項目を考慮しながら、学習効果と学習者の経験を最大化するような配慮が求められます。

eラーニングの教材作成については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>eラーニングの作成方法は?教材作成の流れやポイントを解説!


4.「受講時間」の管理ができるeラーニングシステムの選び方

eラーニングの選び方

eラーニングの効果性は、利用するシステムの設計に大きく影響されます。
ここでは、受講時間の管理ができるeラーニングシステムの特徴と選び方について解説します。

1.動画の受講履歴が細かく確認できる

受講者の学習の進度を適切に管理するため、動画の視聴履歴が細かく参照可能なシステムを選びましょう。
例えば、以下のような具体的な学習状況の把握が可能です。

  • ・受講者が動画をどこまで視聴したか
  • ・一度にどの程度の時間視聴したか
  • ・動画を途中で止めて後から再開したか など

これにより、受講者自身が自学習を振り返りやすくなり、また教育者が学習支援をより具体的に行うことができます。

2.飛ばし見・流し見では、受講完了にできない機能がある

受講者が提供されたコンテンツを真剣に理解するためには、コンテンツを全て確認し、学習内容を吸収する必要があります。このため、一部飛ばし見や流し見をさせず、全体を通して視聴することを強制するシステムは有用です。
また、「コンテンツの長さ=受講時間」になるため、管理者も実情を把握しやすくなります。

3.テストやアンケート回答時間のチェックができる

テストやアンケートに対する回答時間を把握できるシステムは、受講者の理解度や興味関心を深く知る一助となります。例えば、回答に時間がかかっている場合、テーマや問題について深く思考しているか、あるいは理解に苦労している可能性があります。

一方、非常に早く回答を完了している場合は、問題の理解度が高いか、もしくは適切に回答を行っていない可能性があります。
このような情報は受講者の学習傾向を掴む重要な指標となり得ます。

eラーニングシステム選びでは、上記で紹介したポイントを考慮することで、受講者の学習管理をより適切に行うことができ、より高い学習効果を得ることが期待できます。
また、個々の受講者の学習レベルや学習状況に応じたサポートが可能となり、eラーニングの効果を引き出すことができるでしょう。


5.eラーニングの受講時間は労働時間に含まれる?

eラーニングは労働時間に含まれるのか

eラーニングを導入するにあたって、「受講時間は労働時間に含まれるのか」という問題についても注意が必要です。

具体的な実施方法によって含まれる場合と含まれない場合とがあります。
以下に、それぞれの場合を解説します。

労働時間に含まれない場合

eラーニングの受講時間が労働時間に「含まれない」に該当するのは、受講が社員の自由意志に任され、受講時間や期限が指定されていない場合です。
さらに、受講がオンデマンド形式で、社員が私的な時間帯に自由に受講できる状況も同様と考えられます。

以下に代表的なケースを紹介します。

  • ・自己啓発の場合:
  • 従業員が自分自身のスキルを向上させるために自主的にeラーニングを受講するような場合は、通常、労働時間には含まれません。個人の自己啓発の一環と見なされ、職務外の活動となります。

  • ・業務時間外の学習の場合:
  • 従業員が業務時間外、つまり仕事の終了後や休日に自由な時間を利用してeラーニングを受講する場合、その時間は通常、労働時間として認識されません。

  • ・個人の趣味や関心の学習の場合:
  • 従業員が個人的な関心や趣味を追求するためのeラーニング(例えば、写真撮影、料理、外国語など)を受講する場合も、その時間は労働時間には含まれません。

労働時間を含めない場合の注意点

eラーニングの受講時間が労働時間に「含まれない」場合、以下の点に注意しなければなりません。

  • ・義務付けの明確化:
  • 企業がeラーニングを労働時間外に推奨したり要求する場合、その学習が従業員に対して義務付けられているのか、自発的なものなのかを明確にすることが重要です。

  • ・労働法規:
  • 参加が自発的であるとしても、あまりにも多くの時間がかかる場合は、事実上の労働時間とみなされる可能性があります。労働法規や労働者の権利についての規定を理解し、それに準拠するように注意しなければなりません。

  • ・従業員のウェルビーイング:
  • 従業員が労働時間外に多くの学習を求められる場合、それがストレスや過労につながり、結果的に自己充足感や生産性に影響を及ぼす可能性があります。バランスの取れた学習環境を提供し、従業員の疲労やストレスにならないような配慮が必要です。

  • ・時間管理:
  • eラーニングの受講が自発的なものであっても、それにより労働時間内の業務が遅れたり、効率が悪くなるようでは困ります。このような状況を避けるために、どの程度の時間がeラーニングに費やされるべきか、ガイドラインを提供することも重要です。

企業としては、従業員のスキル向上と生産性向上をバランスよく進めるための方策を検討し、適切な環境を整備する責任があります。

労働時間に含まれる場合

eラーニングの受講時間が労働時間に「含まれる」とされるのは、受講が業務時間内に行われるか、受講が特定のタスク達成や職責に直接関連し、業務遂行に必要なトレーニングとされる場合です。

以下に代表的なケースを紹介します。

  • ・企業研修の場合:
  • 新人研修や能力開発の一環として企業がeラーニングを実施する場合、通常労働時間に含まれます。従業員が業務上のスキルや知識を習得し、または向上させるための教育と見なされるからです。

  • ・法的義務の場合:
  • 特定の業種や職種では、法令の定めにより定期的な教育や研修が義務づけられていることがあります。この場合、eラーニングを含む教育時間が労働時間に含まれることが一般的です。

  • ・労働時間内の受講を指示する場合:
  • 企業が従業員に業務時間内にeラーニングを受講させる場合、労働時間として計算されます。

  • ・能力向上を企業が求める場合:
  • 企業が特定の職務に必要なスキルを向上させるためにeラーニングの利用を要請する場合も、受講時間は労働時間と認識されることがあります。

これらの状況は全て特定の職場や労働環境で発生します。具体的な解釈や適応は、労働法規、企業の規定やポリシー、個々の雇用契約によって大きく変わります。そのため、具体的な問題については適切な法的アドバイスを求めることをお勧めします。

労働時間でトラブルになる場合もあるので注意

eラーニングの受講時間が労働時間に含まれるのかという問題がトラブルに発展することがあります。

実際に訴訟になった例もありました。通常の勤務時間外のウェブ学習が労働時間に該当するとして、労働者側が会社に対して残業代の支払いを求めた事案です。
この事案で、平成22年の大阪高裁は残業代請求を認めませんでした。

理由は次のとおりです。

・会社は確かにWEB学習を推奨し、目標とすることを求めた。
 しかし、その効果は各人の能力や意欲によって左右されるものである。

・WEB学習の推奨は、従業員各人に対してスキルアップの材料や機会を提供したに過ぎない。
 学習効果の成果を測定するための技能試験等が行われているわけでもない。

・WEB学習の推奨を業務指示とみることはできず、労働時間と認めることができない。

この事案は訴訟に至った一つの例です。大きな問題に発展しないように、トラブルを未然に防ぐことが必要です。
以下で、eラーニングの受講時間を労働時間に含める場合の注意点を紹介します。

労働時間に含める場合の注意点

eラーニングの受講時間を労働時間に含めると決定した場合、会社として注意しなければならない点がいくつかあります。

  • ・過労問題:
  • 従業員が既にフルタイムで働いている場合、さらにeラーニングの受講時間で時間が増えると、過労のリスクが高まります。これは労働法規に触れる可能性があり、従業員の健康や自己充足感に影響を及ぼす可能性もあります。

  • ・パフォーマンスの低下:
  • eラーニングが有益であるとしても、業務時間内で行われると本来の業務を妨げ、全体の生産性やパフォーマンスに影響を与える可能性があります。

  • ・労働時間の管理:
  • eラーニングが自宅や勤務地外で行われる場合、時間を監視・管理するのは困難であり、受講時間の把握や報告について明確な指針とそれに沿ったタスクの進行が必要になります。

  • ・経済的負担:
  • すべてのeラーニング時間を労働時間とみなすと、企業の人件費が増える可能性があります。特に労働時間外にeラーニングが行われる場合や、労働時間が規定以上になると、残業料が発生するのでコストがかかります。

上記のような問題を避けるためには、明確な指針とガイダンスを設定し、従業員の健康と安全を確保しつつ、生産性と効率を維持することが重要です。


6.まとめ

本記事では、eラーニングの成功において重要な役割を果たす「時間」について解説しました。

1日の学習時間や1回あたりの学習時間、コンテンツの長さという要素が学習効率に影響を与えます。
受講者が効率的に学習できるよう、集中力が保てる15分程度を目安に、休憩をはさみながら1日90分以内で実施することをおすすめします。
これはあくまで一般的な推奨例であるため、学習スタイルや目的に合わせて適宜調整するようにしましょう。

i-netschool(アイネットスクール)では、これまで500コース以上のeラーニングコンテンツを企画・作成してきました。これまで培ったノウハウで教材制作のアドバイスも可能ですので、制作を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
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i-netschool 編集担当

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