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2024.03.04

その他

派遣元企業による派遣社員向けeラーニング導入のメリットやポイント・選び方など詳しく解説

時間や場所を問わずに学習できるeラーニングは、派遣社員研修の有効な手段として関心を集めています。
しかし、eラーニングによって十分な効果を得るには、適切なシステムの選定と成果につながる運営管理が必要となります。

この記事では、派遣元企業における派遣社員向けの教育訓練を改善し、質の高い人材育成を図るための解決策となる「eラーニング」について詳しく解説します。
派遣社員向けeラーニングの効果的な運用と講座提供の手法について、理解を深めていただければ幸いです。

1.派遣社員の研修でeラーニングの実施が進んでいる

派遣社員研修のeラーニング

派遣社員に対する教育・研修としてeラーニングの導入が進んでいます。
新型コロナウィルスの影響のもと、従来の集合研修に代わる研修形態としてeラーニングの需要が高まりました。場所や時間を選ばず学習できることに加え、教材の再利用性や進度管理の容易さも魅力です。

また、2015年施行の改正労働者派遣法により、派遣先が講ずべき措置として、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施が義務化され、eラーニングは、有力な選択肢の一つとなっています。

このように、eラーニングは新たな研修手法として広く採用されつつあります。

eラーニングについて、より詳しい内容が知りたい方は、以下をご覧ください。
>>eラーニングとは?システム選び~教材制作まで徹底解説!


2.派遣社員の「キャリア形成制度」の義務化について

派遣社員のキャリア形成制度

2015年の労働者派遣法改定により、労働者派遣事業者に「キャリア形成支援制度」が義務付けられました。
この制度の狙いは、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進し、働く人にとってのスキルアップや将来のキャリアを考慮することです。

具体的には、派遣社員の教育・訓練に関する計画を作成し、進行状況や成果を定期的に評価・検討することが求められています。
キャリア形成支援制度を導入するに当たって、eラーニングを活用することは効果的であり、派遣社員のスキル向上やキャリア形成支援を行う重要なツールとなり得ます。

要件|派遣社員のキャリア形成支援制度

派遣社員のキャリア形成支援制度は、次の要件を満たしている必要があります。

  • ・教育訓練の実施計画を策定すること
  • ・相談窓口を設置すること
  • ・派遣先の提供に関して定めること

以下で詳しく説明します。

教育訓練の実施計画を策定すること

派遣社員のキャリア発展を考慮した段階的で体系的な教育訓練の実行計画を設定することが要求されます。

教育訓練には次のような条件があります。

  • ・採用する全ての派遣社員を対象としている。
  • ・有給かつ無償で行われる。
  • ・派遣労働者のキャリアアップに寄与する内容である。
     (例:賃金などの待遇が良くなること、正規社員として雇用されること、技術的レベルが向上すること など)
  • ・入職時の教育訓練を含んでいる。
  • ・無期雇用派遣労働者向けの教育訓練は、長期的なキャリア設計を視野に入れた内容である。

相談窓口の設置

キャリア相談の窓口を設けることが求められます。

具体的には以下の条件が必要です。

  • ・相談窓口には担当者(キャリアコンサルティングに関する知識を持つ人)が配置されていること
  • ・雇用する全ての派遣労働者が相談窓口を利用できること
  • ・希望する全ての派遣労働者がキャリア相談を利用できること

派遣先の提供に関する規定

キャリア形成を視野に入れた派遣先の提供についての定めが必要とされます。

具体的には、派遣社員のキャリア形成を視野に入れた派遣先の提供のための事務ガイドラインやマニュアル等が整備され、それらの手続きを規定していることが求められます。

時期|派遣社員のキャリア形成支援制度

教育訓練の時期に関しては、入職時つまり派遣労働者として雇用する際に実施することが必須となります。
これは派遣労働者全員に対して当てはまります。

頻度|派遣社員のキャリア形成支援制度

教育訓練の頻度については、少なくとも最初の3年間は毎年1回以上の教育訓練の機会の提供が必要です。
さらに、キャリアの節目など一定の期間ごとにキャリアパスに応じた研修等を用意しなければなりません。

実施時間|派遣社員のキャリア形成支援制度

教育訓練の実施時間数については、フルタイムで1年以上の雇用する見込みの派遣労働者について、一人当たり、毎年およそ8時間以上の教育訓練の機会を提供することが必要です。

なお、派遣元事業主についても、教育訓練計画の実施に当たり、適切に受講してもらえるように就業時間等に配慮する義務があります。


3.派遣社員の訓練方法の種類

派遣社員の訓練方法

派遣社員の訓練方法には様々なものがあります。
ここでは、主要な方法として、対面型Off-JTと派遣社員向け「eラーニング」の二つを紹介します。

対面型Off-JT|特徴

対面型Off-JT(Off-the-Job Training)は、就業場所から離れた専用の教室や研修所で行われる教育形態で、以下の特徴があります。

  • ・直接的なフィードバック:
  • 研修者と教育者が直接対面するため、即時かつ直接的なフィードバックと指導が可能です。

  • ・個別の疑問の解消:
  • 受講生が抱える直接的な疑問や不明点について、教育者が直接対応できます。

  • ・実技練習の場:
  • 特定の実技訓練が必要な場合、具体的な機材や設備を用いて実践的な研修を行うことが可能です。

  • ・対人スキルの向上:
  • グループワークやロールプレイ等を通じて、コミュニケーションスキルやチームワークを育むことが可能です。

対面型Off-JTの課題

一方で、対面型Off-JTには課題も存在します。
具体的な課題としては、以下の4点が挙げられます。

  • ・地理的制約:
  • 受講者全員が同じ場所に集まる必要があるため、遠隔地にいる派遣社員の参加が困難になる恐れがあります。また、会場を準備する必要があります。

  • ・時間制約:
  • 全員が同じ時間に参加できる研修スケジュールを作成することが難しい場合があります。また、受講時間を確保するためには日常業務を一時停止させる必要があるため、業務への影響を考慮しなければなりません。

  • ・コスト:
  • 会場についての費用や、講師の手配、交通費、経費、宿泊費など多くのコストが発生します。

  • ・内容の均一性:
  • 対面型研修では、受講者の理解度や進度を一律にすることが難しく、個々のニーズに合わせた学習を提供するのが困難です。

派遣社員向け「eラーニング」|特徴

eラーニングはパソコンやスマホを使用した学習方法で、以下の特徴があります。

  • ・時間と場所の自由度:
  • 特定の時間や場所に制約されず、自由にアクセスできます。これにより、派遣社員は自分のペースで学習ができます。

  • ・進度管理と評価:
  • 管理システムを通じて、各受講者の学習進度、理解度を把握できます。これにより、必要な支援やフィードバックを的確に提供できます。

  • ・再利用性:
  • 講座内容は容易に更新でき、繰り返し利用することも可能です。一度作成した教材を長期的に利用できるため、コスト効率を上げることができます。

  • ・多様な教材による学習:
  • eラーニングの教材は用途に合わせて様々な形式が可能です。テキスト資料・動画・アニメーション・CGなどを目的にあわせて選択することで、より分かりやすい教育を実施できます。

対面型Off-JTの弱点を補完し、より効率的な訓練体制を構築するためには、eラーニングを活用することが推奨されます。


4.派遣社員の教育にeラーニングを導入するメリット

派遣社員研修にeラーニングを導入するメリット

ここでは、派遣社員の教育にeラーニングを導入するメリットを具体的に紹介します。

時間・場所を問わず学習ができる

eラーニングの一番の優位性は、時間や場所に縛られずに自由に学習できることです。受講者は自分のスケジュールに合わせて自由に学習時間を設定でき、「勤務地や自宅、出張先」など、インターネットに接続できる場所であればどこからでも進めることができます。

また、自身の理解度に応じて進行速度を調整できるため、自分のペースで学習を進められるのも大きなメリットです。

コストの削減ができる

eラーニングは、システム導入費・利用料は必要ですが、長期的に見ると講師の人件費や、対面形式の研修では必要となる「交通費や宿泊費、会場費」などが発生しないため、大幅なコスト削減が期待できます。

教材もデジタル化されているため、更新や再配布が容易で、印刷コスト等の削減にもつながります。

運営の手間が削減できる

eラーニングは、教材や受講の設定をしてしまえば、受講者主体で学習が進行するため、人間が直接介在する必要が少なくなります。

また、学習管理システム(LMS)の導入により、派遣社員の学習管理や報告書の作成、学習効果の分析などが一元的に管理・運営できるため、管理者の負担を軽減できます。

教育の質にムラがなくなる

eラーニングでは、一貫した教材を全員が同じように学習するため、教育内容の質にばらつきが出ません。

また、繰り返し学習できる点も魅力で、理解度に応じて何度でもレッスンを受けることが可能です。
個々の理解度に合わせたり、以前に習った内容の復習を行ったりする柔軟性が得られます。

さらに、受講者の学習過程や成績をトラッキングしてリアルタイムにフィードバックを提供するためのシステムを採用することで、能力や適性に合わせて個別化された学習経験を提供することも可能になります。

以上のように、eラーニングを活用することで、時間と場所の制約を大幅に緩和し、コスト削減や手間の軽減、一貫した教育の質の維持という複数のメリットが期待できます。
このように、eラーニングのメリットを考えると、派遣社員の教育におけるeラーニングの導入は非常に効果的な選択肢となります。


5.派遣社員のeラーニング導入を成功させるポイントは?

派遣社員eラーニングの成功のポイント

派遣社員へのeラーニングを導入するには、どのような点に気を付けたらよいでしょうか。
以下に成功のポイントを解説します。

利用目的を明確にする

eラーニング導入の成功となる最初の一歩として重要なのは、導入の目的を明確にすることです。

基本的な目的は、派遣社員の段階的かつ体系的な教育訓練を実施することです。これをさらに細かくいうと、派遣社員間での能力差の是正、スキルの習得支援、離職率の低減などが、具体的な内容として考えられます。
目的が明確化されることで、より具体的な計画立案やコンテンツ選定が可能になります。

対象者を明確にする

eラーニングの対象者を特定することも重要です。
受講者の知識レベルやスキル、ITリテラシー等を考慮しながらコンテンツを設計する必要があります。

また、受講者のフィードバックを随時取り入れて改良することで、より効果的な教育環境を提供できます。

豊富なコンテンツを用意する

派遣社員の身に付けるべきスキルや学習目標は多種多様なので、臨機応変に対応できるよう様々なテーマやレベルのコンテンツを作成・導入することが求められます。

導入環境を整える

eラーニングの導入環境を整えることも大切です。管理者側と受講者側のそれぞれの導入環境について注意が必要です。

管理者側の導入環境

管理者側では、適切な学習管理システム(LMS)を導入し、コンテンツのアップロードや進度の管理、レポートの作成などを一元管理できるようにすることが必要です。
また、受講者からのコメントや質問に対応するシステムも準備するのがよいでしょう。

受講者側の導入環境

受講者側の導入環境では、各派遣社員が利用するデバイス(PC、タブレット、スマートフォン等)やOSに対応したシステムを提供することが必要です。

また、個人所有のデバイスを利用して行う場合は通信料の補助や、所有していない派遣社員への端末の貸出などの対応も必要でしょう。

運用体制の整備をする

eラーニングの配信はシステムに登録すれば開始できますが、受講をサポートする体制の構築が必要です。
例えば、受講者の登録や教材の更新、進捗管理、受講者からの質疑応答などには専任の担当者が必要となるでしょう。

運用体制を整備するためには、随時改善・維持を適切に行うことで、派遣社員の教育がより効果的なものになります。

eラーニングの構築方法については、以下の記事で解説していますので参考にされてください。
>>eラーニングシステム(LMS)を構築する方法は?成功のポイントも解説


6.派遣社員向けeラーニングシステムの選び方

eラーニングシステムの選び方

派遣社員向けeラーニングシステムは、様々な種類が提供されています。
ここでは、適切なeラーニングシステムを選ぶポイントを紹介します。

コンテンツの豊富さを確認する

配信するコンテンツは、オリジナル教材もしくはeラーニング会社が提供している既存教材を利用します。一般的な知識・スキルの学習であれば、既存の教材を使用する方が効率的でしょう。
したがって、導入するeラーニングシステムは、必要な知識やスキルに対する学習コンテンツが豊富に揃っていることが理想的です。

また、派遣社員の学習意欲を高めるために多様な形式(テキスト、動画、クイズを活用したインタラクティブな教材等)が含まれていることも確認しましょう。

学習が進めやすいか

管理者視点では、コースの追加や修正、進度や結果の一元管理などが容易にできるかどうかを見るべきです。
受講者視点では、コンテンツへのアクセス性や理解度を深めるためのフィードバックシステム、問い合わせ機能などが整っているか確かめることが重要です。

様々なデバイス・OSに対応できるか

多種多様なデバイスやOSに対応することで、端末や場所を問わず学習が可能になります。
また、システムが快適に動作し、使いやすいUI(ユーザーインターフェース)を備えることも重要な点です。

セキュリティ対策ができているか

eラーニングシステムを導入する際は、セキュリティ対策も重視すべきです。
個人情報の取扱いに関する規制が厳格化している昨今、個人データの安全性を保証するために情報保護に関する対策が十分にとられているかを確認しましょう。

以下は、セキュリティ対策の例です。

  • ・暗号化した通信やアクセスのログ管理
  • ・不正アクセスに対する防止策 など


7.派遣社員向けeラーニングシステム導入の注意点

派遣社員に向けたeラーニングの注意点

ここでは、派遣社員向けeラーニングシステムを導入する場合の注意点を、課題と対策に整理して解説します。

派遣元管理台帳への記録が必須

【課題】eラーニング導入に際しては、派遣元管理台帳への記録が必須となることを忘れないよう注意が必要です。これは労働者派遣法により求められるもので、派遣社員ごとの教育研修状況を明記するものです。

【対策】履歴管理機能を備えた学習管理システム(LMS)を採用し、すぐにデータを取り出して記録できる体制を整えることが重要です。

研修者のモチベーションが維持しにくい

【課題】eラーニングの弱点として、受講者の学習意欲の維持が困難である点が挙げられます。

【対策】学習意欲の維持のためには、学習の進捗状況を視覚化したダッシュボードを提供したり、定期的なフィードバックや学習成果の公開などで達成感を得られるようにするのが効果的でしょう。

実技やグループワークには不向きである

【課題】実技研修や、ディスカッションやグループワークなどのコミュニケーションが必要な教育は、eラーニングだけでは難しいものがあります。

【対策】必要に合わせてeラーニングと他の学習方法(チームでの実践研修やミーティング等)を組み合わせるハイブリッド型の教育を検討しましょう。また、掲示板やチャット機能を活用したオンラインのディスカッションを導入するのもよい方法です。


8.まとめ

派遣社員向けeラーニングの導入は、様々な教育課題を解消することが期待される一方で、計画的な導入と運用が求められます。
目的と対象者の明確化、豊富なコンテンツの提供、適切な導入環境の整備、そして運用体制の整備などが必要です。

また、導入過程や運用中は、以下についても注意を払いましょう。

  • ・派遣元管理台帳への記録
  • ・学習者のモチベーション維持
  • ・実技やグループワークの取り組み

この記事を参考にし、eラーニングを活用した派遣社員の教育を推進してみてください。


この記事を書いた人
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i-netschool 編集担当

i-netschoolはeラーニング事業歴20年以上。これまでのノウハウをもとに、eラーニングに関するお役立ち情報を発信しています。

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